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「首は鉈で切り落とされていた。鉈は、晃が愛用していたもので、山道で枝を払うのに使用していた。それは、有希子の母親も使っていたと思われます」
由紀子の母親は、山草を題材に絵を描いていたので、山にも入っていた。
この森や山を熟知していたので、迷わずに逃げる事が出来たのだろう。
「使用した鉈は、発見されていない……」
でも、気になってきたのは、心中の場所だろう。俺が、じっと西海を見ると、西海が目を逸らしていた。すると、間に内薗が割り込んできた。
「夏目と西海が、そんなに仲良しだとは知らなかったよ……」
仲良しというのではない。西海は、潜入捜査官で、公安に属している。しかし、俺も本村も、元は諜報員であったのに、西海の素性を掴めなかった。この国で、素性を掴めない人間といえば、記録を持っていない地下社会の人間ということになる。しかし、俺は地下社会の出身で、この国の地下社会ならば調べる事ができる。
同期だという壬生も、知り合った以前の西海を知らなかった。
「まあね。西海は特別」
唯一、可能性があるとすると、西海はこの国の出身ではなく、他国の地下社会にいた人間だ。
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