第四章 白い森 二

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「インターネットの噂では、妄想彼氏と心中とか、受験勉強のノイローゼと言われていましたけど……そんな風には思えない」  思春期には、何を見ても死にたくなるような時期もあるので、理由は置いておく。 「目撃証言では、可愛いカップルだったのでしょう。これは、相手が女性で、ボーイッシュだっただけだろ」  大学だけではなく、両親も娘の恋人が女性だったので、外部に相談できなかったのだ。  壬生が携帯電話の、消した画像を復元すると、大量の彼女の写真があった。 「あ……死んでいたのは、ボーイッシュな方なのか……」  彼女の名前は分からないが、かなり可愛い女性で、笑顔が特に素敵であった。こんなに可愛い女性ならば、男性から口説かれ続けていただろう。 「でも、まず現場に行かないとね。西海、行こう!」 「全く、しょうがないですね……」  西海は文句を言いつつも、オフロードのバイクに俺のシートを付けてくれた。 「夏目だけ、ずるい……」 「内薗は、自分のチームに頼め」
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