第四章 白い森 二

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「壬生、この女性は、この後も、この土地に来ているか?」 『来ていますよ。防犯カメラで確認できました』  壬生から即答があり、少し驚いていると、映像も送ってくれた。 「ああ、花が落ちているから、ここに花を供えているのか……」  駅前で車を借りて、一人でこの場に来ているらしい。 「ここで、一緒に死んでいた、仮の人生を考える……」 『そうですね、この女性は大学を出て、結婚しましたが、既に離婚しています』  仕事もバリバリとする方ではなく、職場のアイドルというお荷物となり、追い出されるように結婚した。しかし、結婚生活もうまくゆかず、又、追い出された。 『何でも確認しないと出来ない性格で、仕事でも、合っている、大丈夫かなと聞きまくっていました。結婚しても、何度も電話を掛けて、聞いてしまったようです』  ここで、死んでしまいたかった。その後の人生は、辛く悲しいものだった。 「三人目の弁当……ここに、頻繁に来ていた……」  生き残ってしまったが、ただ生きているだけで、夢も意味も見いだせない。
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