第四章 白い森 二

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「有希子と晃とも、顔見知り……」  もしかしたら、有希子の事情も知っていたのかもしれない。 「そうか、一人ではなく、二人だったのか」  由紀子が家族を殺し、風呂場で自殺している。その首を切り落とし、有希子の母が呆然と並んだ家族を見ていた。そこに、この彼女が来て、家の中の痕跡を消し去り、母親を連れて山に入った。 「有希子の気持ちは理解する。でも、残された者は、そこから生きなければならない」  一人であったのならば、誰かに喋ってしまうかもしれない。でも、二人で共有した秘密なので、誰にも喋れない。 「事件というのは、現場に来ると、別の面が見えてくるものだね」  書面では見落としてしまうような、犯人の思考や性格が、実感として分かる。 「この女性が、あの家の怪奇現象を作っていたのかな?」 『違うみたいですよ』  どうして違うのかというと、怪奇現象の日時には、この女性はケーキ屋でパート勤務していたらしい。
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