第四章 白い森 二

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『ケーキ屋は合っていたようで、職人を目指し始めたようですよ』  女性二人、しかも母子のように見えていたので、誰も犯人とは思わなかった。彼女達は、堂々と登山道を下り、家へと帰っていったのだ。 「西海、次はダムに行く!」 「分かりました」  しかし、この時間になって、又、霧が出始めてしまった。それでも、ダムに行くと、真っ白で歩けないほどになっていた。 「夏目さん、少し休憩しましょう」  バイクを押して歩くと、自動販売機の横に止めた。どうして、こんな場所に自動販売機があるのか分からないが、ダム関係者が置いたのかもしれない。  俺は、真っ白で周囲も見えないので、自動御販売機の横に座って、オレンジジュースを飲んだ。 「西海、公安というのは疑っていないけど、どこかからの出向なの?」 「言えません」  俺にも言えない事はあるので、それ以上の追及はやめておこう。
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