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男性は驚愕した表情を浮かべ、助けを呼びに来たのだと、やっと記憶を取り戻した。
「死んでいる事も思い出しましたか?」
「あっ……」
男性の足元に水が溜まってゆくと、泥や水草が周囲に広がっていった。
「……死んだ……そうか……」
女性が窓を開けていたので、あっという間に、水が車内に入り込んできた。だが、運転席と助手席のシートベルトが切れなかった。
「女性は窓から外に出ていった……俺達は車内に取り残された……」
運転していた男性は、水に落ちた時に、温度差で心臓麻痺を起こしていた。水は冷たく、まるで氷のようであったという。
「死んだのか……そうか……」
「光に進むと成仏すると言いますよ。ええと、光は上のほうかと思います」
俺が天を指差すと、男性が笑顔になった。
「良かった……天使が笑っている……行ってみるよ……」
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