第四章 白い森 二

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「……母親に愛されなかったのではないよ。君の母親は、有希子ではなく、小百合だっただけだ」  壬生が、晃が消した画像を送ってくれた。そこには、晃と小百合、幸多が普通の親子のように遊んでいる姿があった。  しかし、有希子にとっても、幸多は孫にあたるので、そう邪険にはしなかっただろう。 「小百合と真一は双子で、心は一つのように、互いに分かり合っていた。晃は、小百合と真一を肉体面でも繋なげた」  同じ男を愛する事で、小百合と新一は、肉体的に繋がったような錯覚を得た。歪な形であったが、晃、小百合、新一は三人で愛し合い、幸多を得て家族になった。 「夢を叶えたのだから、ここで死んでも満足でしょう。幸多と天国で、家族を続けてください」  俺の言葉に反応したのか、窓の外に四人の姿が浮かぶと、血を流しながら、頭を下げた。すると、乗せただけであったのか、四人の頭が落ちて、ゴトゴロンゴロンというような音がした。頭が廊下に転がった感じがして、怖いものみたさで、つい、背伸びして廊下を見ると、本村が俺を抱き上げてくれた。
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