第五章 飛んでいる鳥

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第五章 飛んでいる鳥

 夕食は、新井が地元の野菜を持ってきて、カレーを作ってくれた。キャンプにはカレーが定番なのだが、皆が暗い顔をしていた。 「この家は、取り壊されるのに、どうして内薗は購入したの?」  内薗はカレーのじゃがいもを避けて食べていて、ご飯は山盛りになっていた。  そもそも、金に困っていない高橋家が、この家を手放したのも不思議だ。 「鳥はどうやって、飛ぶように進化したのだろう。海の生物が陸にあがり、やがて飛ぶまでに、何があったのだろうね」  進化という言葉では、説明できないものが沢山ある。 「霊には、遺伝子があるのかな?霊に記憶があるのならば、この脳は何の役目があるの?」  内薗なりに、色々と考えていたら、この家を紹介されたらしい。紹介したのは、有希子の従兄弟にあたる人物で、更地にする条件で格安で売っていたという。 「ああ、世羅の関与か……」  根拠はないが、世羅も魂とは何なのか、内薗に問いかけていたのだろう。
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