第五章 飛んでいる鳥

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「内薗、じゃがいもは食べようね」  俺は、本村が冷酒を手に取ったので、よじ登ると催促してみた。 「本村、一口頂戴!それと、ここ、夏でも涼しいよ。それに、高山だし、トレーニングにいいね」 「そうね。姉さんが、周囲一帯を買い取ると言っていたよ。会社の保養所と、訓練センターを作るらしいよ」  本村が、舐める程度だけ、俺に冷酒をくれたので堪能していると、笑っていた。 「……夏目、どうして、ここに来る気になったの?内薗君の護衛だけではないのでしょう? 「まあね……」  俺は世羅が殺された真相を追ってきた。でも、解決できない事や、上からの圧力に悩まされている。  新井が、事件を解決させたかった気持ちは、俺もよく分かっているのだ。 「俺は、有希子の母親や、心中で生き残った彼女を、捕まえるとか、そんな事はしません。これは未解決事件で、ダムは事故でいい」
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