第五章 飛んでいる鳥

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 夜になると、外は又、深い霧になっていた。 「だから、新井さんごめんなさい。解決しないけど、捜査はここで終わりにしようと、告げたかった」  高橋家の殺人鬼は、既に死んでいる。有希子の母親を、死体遺棄で捕まえ、真実を聞いたとしても、それは解決とは別の意味を持つ新しい事件になるだけだ。 「本村は刑事で、この事件をよく知っている。証拠不十分で起訴できないばかりか、圧力で飛ばされたのでしょう……そして、離婚されて何もかも失ってしまった」  俺は本村から降りると、新井に頭を下げた。すると、本村も丁寧に頭を下げると、次に敬礼した。 「…………犯人、捕まえたかった……こんなに、いい家族が殺されていい筈がない……」  新井は、独自でも捜査を続けて、問題はあるが高橋家は、優しい家族だと感じていた。 「近くの交番には、感謝の手紙がきていた……それも何通もあった」  晃は登山道から外れた人を、幾人も駅まで送り、又、周期的にゴミなども拾っていた。山の自然を愛していて、不幸な事故を防ごうとも活動していた。 「この山の、危険な箇所を知らせる看板、おしゃれでしょう……あれは、晃さんが作って設置していた」
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