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人間も全てが誤っているわけではない。晃は、小百合との恋愛を全うしただけで、それが間違いであったと誰も言えないだろう。だが、ここで事件は発生し、被害者と加害者が存在する。
そして、俺は報告書で新井を見つけ、心を動かされた。それは、本村も同じだったようで、確認していないが、同じ感情を持ったのだと思う。
「新井さん、案内、ありがとうございます。すいません、最初から気付いていました。新井さん、先月、病死されています」
俺は新井の報告書とは別に、現状報告も読んでいて、新井が別れた妻と子供や孫に囲まれて、静かに逝った事を知っていた。
「ええええ!夏目!!気付いていたって、どういう事なの……」
部屋中から悲鳴が聞こえたが、俺は気にせずに、新井と向き合っていた。
「新井さんは、この家が荒らされる事を嫌った。まだ、証拠が残っていると信じていたのでしょう」
「……そうです」
だから、死後、記憶が改竄されて、定年して、ここの管理人になったと思い込んだのだ。
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