第三章 白い森

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第三章 白い森

 有希子は、台所に行くと包丁を持ち出した。でも、セラミック包丁であったので、途中で引き返し、奥から刺身包丁を出した。この包丁は、ここに引っ越す時に貰ったもので、箱に入ったままだった。  山の中なので、アウトドアがいいねと、友人はあれこれプレゼントをくれた。バーベキューセットや、のこぎりなどもあった。でも、それらを使う事はなく、有希子は一人で街中に行き、食事をしていた。  週末には新一と百合子が来るが、有希子を無視して、晃と部屋に籠った。  三人で何をしているのか、有希子は子供部屋から見て知っていた。 「いつも通りに、有希子が寝室を確認すると、三人が楽しんでいた」  デジカメにはデータがあり、その時間、晃は外で写真を撮っていた事になっている。そうすると、この家にはもう一人いたのだ。晃のデジカメを借りて濃霧の中を散歩していた。そういう、もう一人がいたにも関わらず、晃達の行動がいつも通りだったので、有希子はキレた。
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