第四章 白い森 二

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第四章 白い森 二

 本村が、西海と遊びに行くのならば、昼飯を食べてゆけというので、皆で食事にすると、あれこれ遭遇した話しで盛り上がっていた。 「心中は、女性の遺体だけが山中で発見されて、遺書があった」  結婚を反対されての心中ではなく、同じ大学に進学したいと親に言い、反対されたので心中したらしい。女性はかなりの頭脳で、有名大学への進学が可能なのに、好きな相手に合わせて、ランクを落そうとした。それで、両親と大喧嘩になってしまったと、遺書にはあった。 「相手の名前がない。心中ではなくて、自殺ではないの?」 「いえ、目撃証言が幾つもあって、二人で仲良く登っていたそうです」  しかし、女性の友人に聞いても、付き合っているとか、彼氏の話しを聞いた事が無かったらしい。 「相手は誰?」  女性は首吊りで死んでいて、斜面の木にロープを撒いて眠っていた。ロープはもう一本あったが、首を入れる輪の部分が、解けていた。 
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