プロローグ
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プロローグ
目の前を歩く彼はにこりともせず、ただ前を見て通りすぎた。 季節外れの寒波が続き、ようやく訪れた春の日。その年の遅すぎた桜の開花に、入学式にも桜が残ってた。 その桜の……僅かとなった花びらを無情にも風が散らした。舞い散る桜の花びらがひとつ。彼の肩に落ちた。 濃紺のブレザーに、淡いピンクが綺麗でいつまでも私の心にピンクの花びらが舞った。
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