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2週目
曜日というものは、いつからあるのかしらないけれど、毎週木曜日があることに感謝しちゃう。
学校で見る高台くんは、やっぱり高台にいるようで、目すら会わない。相変わらずの“別世界の人”
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「あれ、今日は早いね」
前回同様、高台くんが自分の鞄を避けると、自分の反対側に置きなおし、私が座るスペースを空けた。
その鞄があった場所なんて近すぎて座れないけれど、私はかろうじて同じベンチに座った。
不思議な……空間。
今だけは、私達は同じ場所にいる。高い位置から、私と話すために降りてきた、天界の人。
高台くんは、背は高いのに座高は低い。つまり、ベンチから出た足が……私とは違う場所まで到達していて、つい見比べてしまう。
私のそんな不審な目の動きに
「どうか、した?」
「あ、いや足が長いなって」
「うん、そうだね。長さで選ぶと横があまっちゃうし、結構大変」
結構大変!そんな苦労!
「ご苦労様です」
「背がね、あるから」
「うんうん、格好いい!」
返事が安っぽい、私。テレビと喋ってるんじゃないんだから。
「今日は、一つ遅れじゃないね」
「何とか、冷静さを、保てて……」
にこ。
なーい!!笑顔の威力!!!動揺、動揺、動揺するわ。今日もこの時間は動揺から始まる。
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