2週目

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「今日、化学の益井先生とぶつかりそうになってね」 「うん、格好い……危ないね」 危ないのは、私の口。話の内容関係なく直ぐに格好いいと言いそうになる、この口だ。 「『お、高台! いつの間にか俺よりデカくなったなぁ!』って言われたんだけど……多分入学当初から、俺……益井先生より大きかったんだよね」 「ぶっ」 益井先生もゆくゆくは、どんだけ転けても官僚クラスまでは行きそうな、しかも、美し過ぎる生徒を目の当たりにして動揺したのではないかと、察してあげられる。 「何て返すのが正解だったのかな」 「何て返したの」 にこ。 「何も……返せなかった」 その微笑みを返されたのか。 「難しいよね、返し方」 ベンチっていいな。テーブルだと、向かい合わないといけない。だけど、横並びってさほど沈黙が苦しくない。 言葉を探して、泳がせた目にベンチの下の黄色い花が目に止まった。 「あ、タンポポ……」 一つだけ咲いている。 「西洋タンポポだね。もう寒くなるのにね……」 「あ、本当だね。季節外れ……」 「早く咲きすぎちゃったのかな、それとも……今やっと、咲けたのかな」 本当だ、タンポポの季節と真逆の今は……早かったのか、遅かったのか。
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