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「“成長期なので”って言うのはどう? 牛乳を片手に持って……」
「陸上さん、やっぱり一つ遅れ出したね」
タンポポを見ながら、高台くんがふっ、と笑った。
「高台くんも、益井先生の物真似、似てたよ」
今度は高台くんが少し赤くなった気がしたけれど、夕日のせいかな?どのみち、高台くんの方をちゃんと見れない私には確認出来なかった。
「そろそろ行くね」
高台くんが立ち上がった。
「あ、うん、塾頑張って」
名残惜しい気持ちより、未だに信じられない気持ちと緊張の方が勝る。ホッとして私も立ち上がった。
「……来週も、会える?」
勿論、ここを通りかかるつもりだったけれどそう言われると、ドキンとする。単に、ここを通るか聞かれてるだけなのだとしても。
「うん」
にこ。
彼は最後に微笑んで、その場を後にした。
にこっ!にこっ、の威力!!はぁ、格好良かったー!!さっきまで横にいたなんて……
凄いな、格好いい人って。それだけで……幸せだ。日が落ちたのをいいことに、緩む顔をそのまま、家へと戻った。
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