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「何、おかしい?」
どうやら、想像していたら顔が緩んでいたらしい。そう言われて笑っている事に気がついた。
「いや、ど、どんなバイトするのかなぁって……」
「ああ、大学内で出来るみたいだから、それを手伝わせて貰おうかなって……萌香は?」
既に考えているんだ。凄いな。しかも、大学内。私は制服の可愛いインスタ映えの制服……
「カ、カフェとかどうかなって」
にこ。
すみませんね、ありきたり、かつ、浅い私。
「楽しいね」
「ん? 何が」
「こうやってさ、何でもないことをずっと話してるの、楽しい」
「うん、楽しいね」
この後のことを話せずに、大学を卒業したら、とか大学に在学中は、とか、他愛も無いことを私たちはずっと話した。
多分、何度か“損しちゃった”木曜日の分を取り返したかったんだと思う。私も、高台くんも。だから、話すことはずっと絶えなかった。
「正義、料理出来るの?」
高台くんが、こちらをじっと見ると
「萌香、俺に出来ない事があると思う?」
首を傾げてそう聞いたので
「無いと思う。シェフだと思う」
真面目に答えたけれど、彼なりの冗談だったらしい。それから、彼にも出来ない事はあるらしい。
「……出来ないんだよね」
高台くんは、そう言った。
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