卒業式

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「……正義に出来ない事があるなんて……」 「あるよ、結構色々出来ないよ、俺」 「そんな事ないでしょ」 「イメージだよね、俺、きっと……色々デキ顔なんだよね」 ……この人、本当に面白い。“デキ顔”って何よ。 「実際色々出来るじゃない、正義。料理もきっと大学卒業する頃にはシェフだよ」 「一応ね、今から母親に教わったり……大学には大きな図書館もあるし……調べたら動画もあるし、何とかなるかなって……自分で食べる分だしね」 とか言いながら、きっと綺麗に作るんだろうな。見たいな……そう言いかけたのは、のみこんだ。 「やってみたら、楽しいだろうしね」 「うん、いくつか料理について勉強してる」 そう言って、高台くんが自分のスマホを開く。 そこのアプリに入れられていたのは……“栄養学”“衛生法”“調理科学”……シェフか。 「面白いよ、唐揚げを化学する」 「えぇ、プロだね」 「温度とかね、二度揚げとか、なぜ、こうすると味が一番染み込むか……」 「……正義って本当凄いよね」 「頭で考えたものと、実技が……伴わないんだよね、卵も上手く割れないし、おおさじ1杯の醤油をはかることも、ままならない」 「はぁ、それは、私も。私の場合、頭もないわけで……」 「萌香も、料理出来ないの?」 ……う…… 「……うん、出来ない」 「一緒だ」 にこ。 全然一緒ではないけれど、高台くんが嬉しそうだったので、私も笑った。
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