1610人が本棚に入れています
本棚に追加
「……正義に出来ない事があるなんて……」
「あるよ、結構色々出来ないよ、俺」
「そんな事ないでしょ」
「イメージだよね、俺、きっと……色々デキ顔なんだよね」
……この人、本当に面白い。“デキ顔”って何よ。
「実際色々出来るじゃない、正義。料理もきっと大学卒業する頃にはシェフだよ」
「一応ね、今から母親に教わったり……大学には大きな図書館もあるし……調べたら動画もあるし、何とかなるかなって……自分で食べる分だしね」
とか言いながら、きっと綺麗に作るんだろうな。見たいな……そう言いかけたのは、のみこんだ。
「やってみたら、楽しいだろうしね」
「うん、いくつか料理について勉強してる」
そう言って、高台くんが自分のスマホを開く。
そこのアプリに入れられていたのは……“栄養学”“衛生法”“調理科学”……シェフか。
「面白いよ、唐揚げを化学する」
「えぇ、プロだね」
「温度とかね、二度揚げとか、なぜ、こうすると味が一番染み込むか……」
「……正義って本当凄いよね」
「頭で考えたものと、実技が……伴わないんだよね、卵も上手く割れないし、おおさじ1杯の醤油をはかることも、ままならない」
「はぁ、それは、私も。私の場合、頭もないわけで……」
「萌香も、料理出来ないの?」
……う……
「……うん、出来ない」
「一緒だ」
にこ。
全然一緒ではないけれど、高台くんが嬉しそうだったので、私も笑った。
最初のコメントを投稿しよう!