卒業式

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「私もお母さんに聞こう!」 「そうだね、やり始めたら楽しいよ、それか萌香はカフェでバイトするんだったら、作る方のバイトにしたら?」 「サンドイッチとか、ナポリタンスパゲッティみたいな、手軽な感じだねぇ」 「喫茶店だった? カフェだよね?」 「はい、カフェ希望です。しかも、セルフサービス!」 「お母さんに聞くのがいいね」 「そうだね」 「高台くんのお母さんってどんな人?」 「あ、俺は母親似だよ」 ……美人! 「妹も」 美人! 「無口だな。漫画とかでよくある口うるさい母親みたいなのはないなぁ。味噌汁のCMというよりシリアルのCMに出てきそうな……」 おしゃれ!美人でおしゃれ! 「お父さんは!?」 「父親? 父親はねぇ、どうだろう。寡黙な人だな」 ……誰が喋るのだろう、家では。 「えっと、落ち着いた家庭なんだね」 「ん、陽気な感じ」 ……陽気……うん、そうか。 「萌香は?」 「私ぃ!? 私の顔はねぇ、父親と母親を適当にコラージュしたら出来る顔。どちらも別に。どこ選んでもそんなに差異はない。そんな感じ。体型は母親似。妹もコラージュ顔。姉妹って分かる程度には似てるけれど、よくみたら違う」 「家族がみんな、似てる家庭ってあるよね、そんな感じ?」 「そ、一般家庭の代表みたいな」 「萌香って面白い表現するよね。時々……」 「え、そうかな?」 「うん、とても興味深い」 「正義は色々突き詰めるのが好きだね」 “興味深い”だなんて、私は使ったことのない言葉だ。
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