卒業式

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だけど、とても優しい。高台くんの独特の空気はとても優しい。 私の視線に気づいて、高台くんが不思議そうな視線を返してくる。 「横顔、やっぱり、カッコいい」 「はは!」 あ、声だして笑った。思わず見とれる。 「横顔の話もしたね」 「うん、金曜日の渡り廊下で横顔見せてくれた!」 「化学の益井先生に、『成長期ですから』って言えた」 「嘘!? 言ったの!?」 「うん、たまたまね、『デカイな』って言われて。言えて良かった」 「あはは! その場にいたかったなぁ」 「うん」 「花の名前も沢山教えてくれたね」 「うん」 「楽しかったね……」 「うん」 今日で……最後。今までありがとう。その言葉を言おうとした、その時に……思い出した。 『伝えたい事があるって言ったよね』 高台くんはそう言った。身長でも体重でも、スリーサイズでもない。ふざけて遮ってしまったことに気づいた。 いつもそうだ。あの『次で最後』って言われた木曜日だって、私がまくし立てるように話さずに、高台くんの話をちゃんと聞けていたとしたら、あと何回か木曜日に会えたと言うのに。 もったいない事しちゃったのは、私のこの、性格のせいだ。 本当に今日で最後。後悔はしたくはなかった。高台くんは、いつも私の下らない話だってちゃんと聞いてくれる人だから。
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