卒業式

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一緒。 私と高台くんの“一緒”がまた……最後に増えた。多分、好きだって言われた時から息をしていなくて、慌てて吸い込むと、吐くのが先だったらしく、ますます苦しくなって……胸のドキドキも激しくなって、死ぬ! いや、息が出来なかったから死ぬんじゃなくて、そうじゃなくて……嬉しすぎて、死んじゃうかもしれない。 「だから、馬鹿にしたわけじゃなくてね、俺だけかって思ったら、嬉しくなっちゃって、笑っちゃった」 高台くんは、ずっと笑ったまま。 「……あ、そ、そうだったの」 嬉しくなっちゃって、笑っちゃったって……もうその言葉だけで気絶しそうですけれど。 「俺の、人生初告白」 「うわぁ、私もだ! 高台くんのハジメテ貰っちゃった!」 浮かれて言ったけれど、言葉にすると随分とアレだな。 「……萌香?」 「あ、はい。正義のハジメテ……」 ハジメテ(そこ)言い直すなよ、私! 「あ、じゃあ、俺も萌香のハジメテ貰っちゃったんだね」 引用するなよ、いつもスルーするくせに!胸が苦しい。 いわゆる、両思いになった瞬間からどの距離感が正しいのか、分からなくなった。ようやく、顔を見て話せるようになったというのに。 両思いって……今の私たちには何だろう。
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