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「正義の結果は変わらないじゃない」
「どちらの結果も変わらない方がいいね。それに……どちらの結果も変わらないよ、俺は萌香が好きなんだし、ね?」
……恐らく、一生分の運を使い果たしたのではないのかと思う。それなのに、ごねるなんて……
「うん」
「あ、萌香そろそろ行かないとダメなんじゃないの?」
「……大丈夫、もう少し……」
「一緒にいたい?」
「うん」
「良かった、一緒だ」
多分、初めてこんなに長く一緒にいる。……そして、それは、最後だから。そう掠めた思いを今は考えないように払拭した。
「あ、ねぇ写真いいですか?」
そう言ってスマホを取り出した。
「いいよ」
そう言った高台くんに、スマホのカメラを向けた。
「……え、俺だけ? 一緒に撮らないの?」
これだから、慣れてないやつは。一般人は!ファンか!そうか、一緒に取るのか。……そ、それもちょっと何て言うか緊張するというか……わたわたと焦っていると、高台くんが私の手からスッとスマホを引き抜いた。
「俺の方が手が長いから俺が持つね」
スマホの端と端に各々の切れた顔が写っていた。
「……ねぇ、もう少し近寄るか、俺の手が伸びるとか、しないと写らないよ?」
高台くんはサラリとそう言った。多分、彼の手は伸びないのだ。
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