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「俺は……あまり、誰かと話す事を、回りに好まれないみたいで」
ポツリと高台くんがそう言った。……あ。分かった気がして
「モテるもんね、その特定の女子と話したりしてたら目立つ……し……」
「そうみたいだね」
サラリと彼は言った。
「大変だね、モテるのも」
「大変……? そうかな。それに……モテてないよ」
「大変じゃないの!? モテてる! モテてるよ! 高台くんがモテてなければ、誰がモテてるって言うのよ!!」
一つ遅れの返事にならないよう、必死にそう言った。
「面白いね、陸上さん」
「女子に面白いは褒めてないよ、高台くん」
「あ、ごめんね」
謝られるのも、逆にツラいわ。
「『好きだ』って言われたのは、ほんの数回しかない」
今日は高台くんの返事も一つ遅れだ。数回でもあるだけ凄いけれど、相手は高台くんだ。数回ってことがどれほど驚くべきことなのか
「ええ!? どうして?」
「聞きたい?」
「え、あ……」
「ふっ、ごめん。意地悪しちゃった。聞いて、くれる?」
前を向いて話してた彼がふっと私の方を振り返った。
『意地悪しちゃった』ご馳走様です。
何、今の顔。昇天しそうな魂を必死に本体に結びつけ、頷いた。
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