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「昔……小学校の時かな……クラスの女子の一人が俺の事を好きだって言い出して……告白されたんだよね」
「おお!」
少しテンションが上がった相槌をうっかり打ってしまい、んんっと小さく喉を整えた。
「女の子ってだいたいグループでいるだろ?そのグループの他の女子達が“ずるい!”“抜け駆け!”みたいにその場でその告白してくれた女子を囲み出したんだ」
「わっ、大変な場だね」
「その女の子は泣き出しちゃって、……俺はしばらく傍観していたんだけど、最後は全員、泣き出して、それから、抱き合って『皆で、高台くんの事好きでいよう!!』って、帰って行った」
「えーっと……?」
「俺は一人教室に……」
駄目だ想像出来すぎて笑ってしまう。
「そういうことが何回もあって、中学でも高校でも……つまり、孤独だよ、俺」
レベルが上過ぎるとそうなるのか。
「だから、女子とはあまり話さないの?」
「必要以外はね、線を引かれてる。女子同士の同盟みたいな、ね」
「……大変だ」
「ずっとこうだからね、大変なのかも分からないなぁ」
そうか、イケメンなのも天才なのも、この人に取っては普通の事なんだ、きっと……
「他の人がどうなのかは、知らない。でも、今は……こんな時間が楽しいよ」
にこ。
私も楽しいというか、嬉しいというか、恥ずかしいというか、私でいいのっていうか……。
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