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同じ人間とは思えない。
そう思ったのは私だけではないらしい。高校を入学する前から彼を知る人は言った。
産まれた時からずっと、完璧だった、と。産まれた時からずっと、モテてモテてモテていた、と。クールガイだとか、氷の君だとか、彼を称賛する美辞麗句はたくさんあった。
結局……アポロンって呼ばれてた。ギリシャ神話でいう、理想の青年像だとか、全知全能のゼウスの息子だとかそんな理由。とにかく……神なのだ。彼の位置するところは。
嫉妬心なんて出ないほど秀でていた。
あるのは、ただ一点。羨望だけだ。
誰も、彼に“告白”などしない。してしまうほどの身の程しらずはいない。噂によると、このあたりじゃ有名な進学校の星蘭女子に幼なじみの彼女がいるらしい。それに胸は痛まない。だって、彼は……別世界の人だから。同じクラスにいても遠い、限りなく神に近い人だった。
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