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「ここの公園、まだゴミ箱撤去されてないんだね」
普通にそう話しかけられた事で
「違うの、私が捨てたんじゃなくて、足元に落ちてる事に気づかなくて、蹴っ飛ばしちゃったの」
しなくてもいい言い訳をして、慌てて俯いた。ポイ捨てするような人だと思われたく無かった。
「ああ、さっきからそこに落ちてたやつだからね、先に俺が拾っておけば良かったね」
「滅相もない!」
私がそう言うと、彼は少し驚いて
「難しい言葉を使うんだね」
そう言って笑った。
笑った!笑った!!笑った!?笑えるんだ!!
いや、その前に喋った!喋ったよね?普通に。
ポカンとしている私に
「陸上さんは? どうしてここに?」
「えぇ!? 私の名前! 名前!? ご存知なの?」
「ああ、1年生の時同じクラスだったよね」
当然のように彼はそう言った。
「こ、ここ! この公園を横切ると家がそこで!」
「ああ、そうなんだね。俺は短期でそこの塾に通ってるんだ。少し早いからここで時間を潰してた」
「1、1、1年生の時、同じクラスでしたっ!」
「はは! どうして敬語?」
「塾に行ってるの!? て、天才なのに?」
「天才?」
「な、なんかき、緊張しちゃって敬語が敬語に、敬語で、すいません」
「緊張……するか。ごめんね」
「天才です! 秀才です! だって、高台くん……」
高台くんが、ベンチに置いていた自分のバッグを避けて、私が座れるようにスペースを開けた。
「少し、構わない?」
「は、はい」
座れ、ということだろうか。
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