信じるか信じないかはあなた次第

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信じるか信じないかはあなた次第

大きな団地の中にある公園のベンチにふたりで座っている 深夜2時頃だろう 街灯は一応あるにはあるがぼやけていてあまり役に立っていない だが、今夜は月夜 月明かりの下で表情がはっきりわからないのが丁度いい 楽しい話をしているわけではないからだ それは今夜の街灯のように未来がぼやけてしまったふたり 電話ではちゃんと話せないと彼女が言うからここまで来て話している 仲が良かった時も何度も座って話していた場所だ 長い時間子どもたちが砂場で遊ぶのを見ていていつかはこんな可愛い子をもつんだろうなと勝手に思っていた でも、思い描いていた将来が今夜この場所で終わるかも知れないとなるといつも見ていたカラフルな景色がひどく殺風景に感じられた それは今夜に似合う景色なのかもしれない 彼女からの突然の別れ話 それは俺がいつまで経っても結婚を切り出してくれないから他の人からのプロポーズを受けようと思うというものだった 俺は一緒になるものだと思っていたので分かってくれていると勝手に思い込んでいた でも待てよ 彼女は知っていたはずだ 将来こんなことしたい あそこに住みたい 色々言っていたんだから さてはあいつの方が心変わりして他にオトコが出来たんだじゃないのか?! プロポーズされているなんて言ってるけど本当はどうだか じゃ、この場で結婚してほしいと言ったらどうする? 俺は彼女と結婚するつもり だったわけだからOKをもらっても大丈夫だ それを俺のせいにしているとか 覚悟を決めて聞こう 君の気持ちはもう俺にないのか? プロポーズをしなかったのは俺が悪かったけど当然、俺は君と将来を考えていたよ 君だってわかってくれていただろ? と、言った すると もー、遅いのよ 女はねちょっ強引なひとに心を持っていかれちゃうの 慣れたあなたより、新鮮だったの ごめんなさい 別れて下さい お願いします この雰囲気を変えたいのか彼女はすぐそばにある小さな池の方へ歩いて行った とにかく今夜は遅いからまたにしよう 送るよ と、言うと すぐ目の前だから大丈夫、帰っていいから と、彼女が言ったので俺は諦めて一人で歩き始めた 少ししてへんな声がしたので振り返った俺は信じられないものを見てしまったのだ それは・・・ 彼女が大きな鳥か化け物鳥に首をくわえられ、飛び立つところだった 例えるならチョコボールのキョロちゃんの大きい版といったところだ あっという間に暗闇に消えて行った 俺は夢を見ているんだろうか? とにかく怖くて信じられなくてどうやって帰ったのか記憶がないが朝になって目が覚めると自宅のベッドに寝ていた えっ?夢だったのか? スニーカーを見ると汚れていた やはり夢ではなさそうだ 彼女の母親から携帯に電話がかかってきた 俺と会うと言って出たきり戻らないと言っていた 別れたあと化け物鳥に連れ去られたと言ってしまいたかったが信じてもらえない気がして口ごもってしまった 警察にも任意で事情聴取された 別れ話のもつれじゃないのか!と決めつけてきた いくら否定しても信じてくれない 警察とはこういうところなんだなと絶望しているところに団地の部屋から俺たちを見ていたという人が現れた 見ていた彼は携帯で動画を撮っていた はじめは俺たちカップルが何かイチャイチャするかなと思って覗いていたらしいが話ばかりだったので覗くのをやめていたという そのうちへんな声がしたのでまた窓の外を見たら化け物鳥を見つけたので慌てて携帯で動画を撮ったと言っていた まさしくキョロちゃんだ 彼女はその後どこへいったのかは、わからなかった 俺は無罪になったがあの日から時は止まったままだ あの化け物鳥は一体なんだったのか もうチョコボールのキョロちゃんは恐怖でしかない 食べるなんてとんでもない 実物がいることを覚えていてほしい あなたも笑いますか? 池の近くに行った時はくれぐれも気をつけたほうがいい なにせ突然現れ、急降下して連れ去りますからね
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