【新釈】竹取物語

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今は昔、竹取りの翁とその妻の嫗がいた。翁の名をさるきの造といった。 ある日の夕方、翁が竹を取りに山へ行った帰りのこと、何処からか助けを呼ぶ声が聞こえた。聞こえたというより頭を響き揺らすような摩訶不思議な声だった。 辺りを見渡すと夕日とも違う黄色く鋭い光を見つけた。よく見るとそれは竹から出ているようだった。 声はそこから聞こえた。竹の中から。 翁は鉈を手に取り節目に打ち付けた。 光り輝く竹の中から出てきたのは、小さな少女。 その少女は翁の長い人生の中で間違いなく一番と言えるほどに可愛らしかった。 翁と嫗はその少女を引き取ることにした。 少女を見つけてから、翁は黄金の竹を見つける日々が続いたおかげで生活は見違えるように豪華なものとなり、少女は姫様の如く育てられた。 その甲斐あってか少女はすくすく成長し、なんと三ヶ月ほどで妙齢の娘になるまでに育った。 成長するにつれ少女の美しさも増し、あたかも光り輝いているかのように常に家を明るく美しく照らし続けた。翁も嫗も、どれだけ苦しいことがあっても彼女を見れば笑顔になれた。 そのうち、少女は神主に「かぐや姫」と名付けられた。 大切に育てられたかぐや姫だがとうの彼女には不満があった。 彼女はまだ理解出来なかったのだ、人とは何かを。
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