夜の勉強

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「……」 「……」 「あの、痛くないですか。力加減……」 「大丈夫だ。気持ち良いよ」  ごしごしと僕は敦史さんの背中を洗う。前に僕を守って傷付いた背中は、広くて逞しい。良いな、格好良いな……。  背中だけじゃない。首も肩も腕も……全部が、その、良い……。  こんな身体の人に暴かれたら……僕、どうなっちゃうんだろう。その時は、お互いタオルなんか巻かずに、絡み合うんだ。たぶん、ベッドで。  ――空。  男同士は、後ろを使うって知識はある。痛いとか、逆に気持ち良いとか噂は聞いたことあるけど、どうなんだろう。敦史さん、上手かな……仕事もプライベートも何もかも完璧だからきっと上手いんだろうなぁ。 ――空。  繋がるって、どんな感覚なんだろう。  敦史さんのが、僕の中に入るって、いったいどんな……。 「空、空!」 「あ、はい!」  名前を呼ばれて我に返った。  気が付けば敦史さんの背中は真っ赤になっている。しまった! 擦りすぎた……。  僕は「ごめんなさい!」と謝罪をしたが、敦史さんは「それは良いんだが……」と視線をぐるぐる彷徨わせながら口を開いた。
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