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僕は慌てて言う。
「それは、敦史さんが僕の両親に挨拶してくれたから……」
「それでも、勇気が要ることだと思う。本当に、ありがとう」
そう言って敦史さんは僕の頬にキスをした。ああ、幸せ……また身体が疼いちゃいそう。ああいうことした後だし、ちょっとくらい大胆になっても良いよね……?
「敦史さん」
「うん?」
「今日はこのまま、一緒に寝たいな……」
途端に、敦史さんは無表情になる。そして、僕の肩を掴んで硬い声で言った。
「駄目だ。今日は、駄目だ」
「どうして……?」
「きっと我慢が利かなくなる」
我慢……ああ、えっと、そういう……。
思わず赤面すると、敦史さんは僕の耳元で囁く。
「勉強の続きは、また今度だ」
「っ……」
「次までに、いろいろ準備しておくから」
準備って……何をするんだろう。訊きたいけど、訊けなかった。だって、ちょっと恥ずかしい……。
「さ、髪を乾かして寝よう。湯冷めする前に」
そう言う敦史さんに僕は頷いた。敦史さんはドライヤーを手に僕の背後に回る。どうやら乾かしてくれるらしい。
僕の髪に触れる敦史さんの手が心地良くて、思わずうっとり目を閉じそうになった。けど、次の「勉強」のことを考えると胸がぞくぞくする。いろんなこと、してね、敦史さん……。さすがにそんなことは言えず、僕は少し俯いて表情を隠した。ちらりと鏡に映った自分の顔は、まだほんのり赤く染まっていた。
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