優しく、まざる

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*** 「それじゃ、また夜に」 「はい。ありがとうございます」  敦史さんが車を発進させたので、僕はその姿が見えなくなるまで見送った。  はぁ……敦史さん、今日も格好良いな。なんて思ってしまったので、昨夜のことをつい思い出してしまった。  ――空、可愛い。  ああ、駄目だ! 身体が熱く……。  そんな僕の背中を、ばしんと叩く感触があった。振り返ると、やっぱり犯人は須田だった。 「せーんぱい! どうしたんですか? 何か、いつもよりぽわぽわしてますよ?」 「……うるさい」  背中はひりひりするが、おかげで身体は冷えた。僕は須田を放っておいて歩き出す。すると、須田は「待ってくださいよー」と言って追いかけて来た。 「先輩、寝不足ですか? クマが出来てますよ? 夜更かししましたか?」 「……っ!」 「それに、歩き方がちょっと変ですよ?」  うるさいな! 後ろがちょっと……むずむずするの!  でも、そんなことを後輩には言えない。僕は黙って前を向いて歩く。須田はぺらぺらと話し続けた。 「あーあ。とか言う俺も今日は腰が痛いですけどね。昨日、ヤりすぎちゃったなー」 「……」 「上に乗るのって結構疲れるんですよ? 腰振らなきゃいけないし……」  誰もお前の夜の過ごし方なんか聞きたくないよ! って、あれ? 上に乗る? 腰を振る?  僕は振り返って須田を見る。すると、奴は「しまった」と言わんばかりに顔を青ざめさせていた。
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