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「それじゃ、また夜に」
「はい。ありがとうございます」
敦史さんが車を発進させたので、僕はその姿が見えなくなるまで見送った。
はぁ……敦史さん、今日も格好良いな。なんて思ってしまったので、昨夜のことをつい思い出してしまった。
――空、可愛い。
ああ、駄目だ! 身体が熱く……。
そんな僕の背中を、ばしんと叩く感触があった。振り返ると、やっぱり犯人は須田だった。
「せーんぱい! どうしたんですか? 何か、いつもよりぽわぽわしてますよ?」
「……うるさい」
背中はひりひりするが、おかげで身体は冷えた。僕は須田を放っておいて歩き出す。すると、須田は「待ってくださいよー」と言って追いかけて来た。
「先輩、寝不足ですか? クマが出来てますよ? 夜更かししましたか?」
「……っ!」
「それに、歩き方がちょっと変ですよ?」
うるさいな! 後ろがちょっと……むずむずするの!
でも、そんなことを後輩には言えない。僕は黙って前を向いて歩く。須田はぺらぺらと話し続けた。
「あーあ。とか言う俺も今日は腰が痛いですけどね。昨日、ヤりすぎちゃったなー」
「……」
「上に乗るのって結構疲れるんですよ? 腰振らなきゃいけないし……」
誰もお前の夜の過ごし方なんか聞きたくないよ! って、あれ? 上に乗る? 腰を振る?
僕は振り返って須田を見る。すると、奴は「しまった」と言わんばかりに顔を青ざめさせていた。
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