優しく、まざる

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「あのさ、須田……」 「先輩! ちょっと!」 「わ!」  僕は空いている会議室に引きずり込まれた。そして、ぴくぴく顔を引きつらせる須田に両肩を掴まれる。 「何か、気が付いちゃいましたか!?」 「……上に乗って腰を振るって、何か表現が……」 「うわあぁぁぁ! バレちゃった! ああ……そうです。俺、彼女居るって言ってたけど、本当は、彼女は男なんです。つまり、男同士で交際してて……」  僕もそうだよ。  なんてことは言えなかった。僕は「そうなんだな」と軽く返す。すると、須田は目を丸くした。 「あの、引きません? 後輩がこんな……」 「いや、恋愛の仕方は人それぞれだし」 「先輩……! やっぱり先輩は良い人ですね!」 「別に……けど、残業した日、恋人に僕を合わそうとしてたよな? その時にバレるって思わなかったのか?」 「ああ、それは平気です……彼氏は、何て言うのかな、つまり、女装男子なんで」  女装……いろんな世界があるんだなぁ。  感心する僕に、須田は胸を張って言う。 「そこらの女の子よりも可愛いんですよ!」 「それは良かったね」 「そんな子に攻められるなんて、もう、最高に幸せなんです!」 「攻められる?」 「ああ、つまり抱かれるってことです」 「……」 「スカートを履いた彼に後ろからされるの凄い気持ち良い……って、何言わせるんですか!」 「ちょ、肩を叩くな! 勝手にそっちが暴露してるんだろ!」
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