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僕はグッズを袋から取り出して敦史さんに見せた。
「ほら! こういうやつで、その……」
「……ああ、なるほど。そういう、グッズか……」
敦史さんが手を伸ばしたので、僕はピンク色のそれを手渡した。敦史さんは受け取ったそれを横から見たり斜めから見たりしている。なんだか……ぞくぞくする。
どきどきしながら敦史さんを見ていると、彼は不思議そうに口を開いた。
「これをくれた子は、俺たちの関係を知っているのか?」
「いえ、知りませんよ。えっと、つまり……」
ここで須田の恋人が男性だと勝手に言うのは悪いと思ったので、僕は嘘のようで嘘でないことを言う。
「後ろの開発って良いものですよって、貰いました!」
「そ、そうか……流行っているのかな?」
「そ、それは知りません……」
「……分かった。これは俺が預かっておこう」
「はい……え? 預かってどうするんです?」
「え? 使わないのか?」
「はい?」
ぷに、とつぶつぶのひとつを敦史さんが指で摘まむ。
「興味が、ある」
「っ!」
「もちろん、空が嫌なら使わないが」
敦史さんが、僕の耳元で囁く。
「どうする?」
ず、ずるい……そんな風に言われたら、僕は……。
「お、お願いします……」
敦史さんの声に溶かされた僕は、こくこくと頷くことしか出来なかった。
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