エピローグ

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*** 「空、おかえり」 「あ……ただいま帰りました」  既に帰宅していた敦史さんに出迎えられた。彼の身体にはエプロン。そして、背後から漂う食欲をそそる美味しそうな匂い。夕飯、作ってくれてるんだ……嬉しい。敦史さんの料理は、どこの店のやつより美味しいから。その……愛情とかも、きっと、こもってるし……うん。 「手を洗っておいで。もう出来るから」  僕の髪にくちづけてから、敦史さんはキッチンに戻って作業を続けた。僕は彼の言葉に従って、スーツを脱いでから手洗いとうがいを済ませた。  敦史さんは、変わった。  最近じゃ残業もしないし、休日出勤もしない。何よりも、僕と過ごすことに時間を費やしてくれている。仕事の時間が減ったからって、会社で不利になることも無く、今まで通りの評価を受け続けているから、やっぱり敦史さんは凄いなあと思う。僕も、頑張らないと! 「いただきます」 「いただきます」  テーブルには手作りのハンバーグにサラダ。それからポトフが並んでいた。何でも作っちゃう敦史さん、素敵だ。並ぶ洋食を見て、僕は昼間のことを思い出した。 「あの、敦史さん」 「ん?」 「クリスマスって、どうしますか? その……どこかでご飯とか、食べますか?」 「ああ、もうそんな時期だな」  敦史さんは「うーん」と数秒悩む素振りを見せた後、笑顔で口を開いた。 「ここで過ごしたい。駄目かな?」 「えっと……お家デートってことですか?」 「ああ。もちろん、昼間は出かけても良い。けど、夜は家で過ごしたい」
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