プロローグ

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「考えなければいけない歳だ。お前の幼馴染の真紀ちゃんだってこの間結婚していただろう」 「僕には僕の、真紀ちゃんには真紀の結婚観があるよ。ね、そのお見合いって、どうせ父さんの上司に頼まれて断れなかった案件でしょ? 嫌だよ僕。父さんの出世の道具になるのは」 「うっ……だが、決して悪い話では無いぞ?」  父は上司が持って来た見合い話ということを否定しなかった。誤魔化すようにマグカップの中身で喉を潤してから、ぼそぼそと語りだした。 「その方なんだが、まず、超難関国立大学を首席で卒業。年齢はお前の五歳上だ」 「ふーん」 「海外留学経験ありで英語はペラペラ」 「へー」 「現在は父さんの会社の取引先の一流企業勤務。ポストは……部長だったかな?」 「ほほう」 「その方は仕事中毒と言うか……休日出勤続きで出会いが無いらしい。そこで見合い相手探しをその方のご両親がされていてな……お前に白羽の矢が立ったんだ」  単に独身で丁度良い年齢の奴が僕しか居なかっただけだろう。  だって、僕は普通の会社に勤務している普通の人間だ。成績も大学も普通。見た目はちょっと中性的だって言われるけど、美形とかそういうわけでは無い。こんな普通人間と、完璧スーパーウーマンが釣り合うとは思えない。僕は父に言った。 「そのお見合い上手くいくって本当に思ってるの? 僕みたいなのが超エリート様と結婚できると思ってるの?」 「お、思ってるさ! それに、お前のプロフィールを見せたんだが、あちらは乗り気だそうでな」 「勝手に何を見せてるの」 「と、とにかく! お見合いは二週間後だからちゃんと髪を切って綺麗にしておくように! 服も、ちゃんとしたスーツを用意しておくこと!」 「えー。面倒臭い……それより、お見合いって言ったら写真でしょう? 見せてよ」
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