仕組まれたお見合い

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 僕は男。  相手も男。  あれ? おかしいな。お見合いって男女で行うものじゃなかったっけ?  顔合わせはホテルのロビーだった。僕は緊張しながらスーツにシワがついていないかを確認していた。その時、向こうから三人組が歩いてくるのが見えたのだ。 「ああ! 一原さん!」  着物のおばさんとスーツ姿の男性二人。知り合いかなと思って僕は駆け出す父の背中を見送った。  父は三人に頭をぺこぺこ下げている。向こうもぺこぺこしている。どういう関係だろうと思った。 「会社の人かな?」 「……」  母は何も言わなかった。よそ行きの笑顔で父たちを見つめている。  やがて四人がこちらに向かって歩いて来た。挨拶した方が良いな、と四人を見た時、不意に一番後ろを歩く男性と目が合った。程良い長さの黒髪に切れ長の瞳、一番背が高くてとても目立っている。身に着けているスーツはきっと値段が高いやつだ。いや、安物でも高級品に見えてしまうのかもしれない。それくらい、その人は格好良いのだ。雑誌のモデルですと言われたらそうなんだと思ってしまうくらいに。  父たちは立ち止まり、僕と母を紹介した。 「息子の空と家内です」  僕は慌てて頭を下げた。 「雲野です。いつも父がお世話になっております」 「こちらこそ……今日はよろしくお願いします」  父より少しだけ年上に見える男性が頭を下げた。  いえいえ、こちらこそ……って、あれ? 今日はよろしくってどういう意味?
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