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一気に顔が熱くなる。
な、何を動揺しているんだ、僕。敦史さんは大人だから、避妊具くらい買うだろうし、当然、僕も買ったことあるし……だから、心を乱すことなんかない、のに……。
「空、先に車に戻っていてくれ」
「あ……」
「はい、鍵」
「……ごちそうさまです」
敦史さんから車の鍵を受け取って、僕は足早にコンビニを出た。鍵を使って車のドアを開けて助手席に乗り込む。そして、自分の鞄をぎゅっと胸の前で抱いた。
「……誰と、使うんだろう」
そんな言葉が無意識に零れる。
そりゃ、敦史さんだって男だし、そういうこと……したくなる時もあるだろう。そう、きっとある……分かってるけど。
「嫌だな……」
きっと、相手の人も完璧な美人なんだろう。僕みたいに残念とか言われることの無い、何でも出来るような……。
「……ん? 相手が居るなら、お見合いなんかしなくてもその人と結婚すれば良かったんじゃ?」
そうだ。
仕事人間で結婚の気配を見せない敦史さんだからお見合いをするって結果になったんだ。それなのに、相手が居る? それは考えにくい。けど、それじゃ何で敦史さんはゴムなんて買うんだろう……?
「空、お待たせ」
「っ!」
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