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「あ、え……真紀ちゃん!?」
そこに立っていたのは、幼馴染の新婚ほやほや、真紀ちゃんだった。会うのは……いつぶりだろう。彼女は薄い茶色のコートを身に纏い、その裾からはピンク色のてろんとした素材のスカートが覗いていた。
「久しぶりじゃん! 元気?」
明るい声で真紀ちゃんが言った。駄々洩れの幸せオーラが眩しくて、僕は思わず苦笑しながら答えた。
「元気だよ。今日は、買い物?」
「そうそう! バーゲン!」
「ああ……セールってそこら中に書いてあったね」
「空君もこんなところ来るんだ! 意外!」
「僕だっておしゃれするよ」
「ふーん……あ、こんにちは!」
真紀ちゃんの視線が敦史さんに向けられる。
「空君の幼馴染で世話係の真紀と申します!」
「初めまして。一原です」
ぺこりと頭を下げ合った後で、敦史さんが言う。
「空、先にカフェに入っているから」
「あ、え?」
「積もる話もあるだろう……真紀さん、どうぞごゆっくり」
そう言い残して、敦史さんは先にカフェの中に消えた。その途端、真紀ちゃんが興奮気味に口を開く。
「ねぇ! 今の超イケメンはどこのどちら様!?」
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