溶けるようなキス

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 敦史さんの指が僕の涙を拭って、軽くそこにくちづけられた。そして――。 「空……」  互いのくちびるが重なる。夢――現実だったけど、その時よりも熱いキス。  舌が中に入ってきて、夢中でそれを味わった。熱い。溶けちゃいそう。いつの間にか僕はベッドに押し倒されていて、両手は敦史さんに拘束されていた。逃げられない。逃げたくない。激しいキスでベッドが軋む音が僕を興奮させた。 「っ、は……敦史さ、ん」 「……すまない。大人げないな」  僕を解放した敦史さんは照れたように頬を僅かに赤らめていた。僕の顔もきっと赤い。ここに鏡が無くて良かった。自分で自分の顔を見るのは恥ずかしいから。 「さて……」  敦史さんが僕の頬に触れながら言った。 「これから、どうするか分かるか?」  僕はぼんやりする頭で考える。えっ、だってそりゃ……ここまでしたんだし、つまりは、そういうことでしょう? 「えっと、身体を清める?」  汗掻いちゃったし、シャワーを浴びなきゃ。  ところが、僕の答えに敦史さんは首を横に振った。 「風呂は熱が下がってからだ」 「でも、それじゃ、恥ずかしい……」 「恥ずかしい?」 「だって……」  もじもじする僕に、敦史さんははっとした顔で言った。
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