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「空、そういうことをするのは風邪が治ってからだ」
「……え?」
ぽかんとする僕の頬を、敦史さんがむにっとつまむ。
「空の気持ちは嬉しいが、今はその時じゃない」
「は……え? いや、平気ですから!」
「駄目だ」
敦史さんはそうきっぱりと言って、横たわる僕に布団を被せた。
「そろそろ薬の作用で眠くなってくるだろう。朝まで寝なさい」
「そんな……」
「それに、俺もまだまだ勉強不足だから、空の身体を傷付けないか心配なんだ」
勉強、不足。
それって……つまり、僕の身体を暴く方法を調べてくれていた……!?
「お、おやすみなさい!」
恥ずかしさがこみ上げて来て、僕は布団を頭から被って丸まった。そうだよね。男同士っていろいろ……やり方があるよね。
「空、おやすみ。ゆっくりやっていこうな」
僕のことを布団越しに撫でてから、敦史さんは部屋を出て行った。
怒涛の……一日だった。
嬉しい、恥ずかしい、嬉しい……!
「っ……!」
僕は自分のくちびるに触れる。ああ、いっぱいキスしてしまった!
夢みたい……。
だんだん重たくなる目蓋に従って目を閉じる。明日には風邪、治ってると良いな。そして、敦史さんと……。
「……恋人になったんだ」
そう、両想いで告白し合って、キスして……僕たち、恋人同士になったんだ……。
「あふっ」
思わず変な声が出た。
これ以上起きていたらどうにかなってしまいそうなので、眠ることに専念する。
敦史さん、ありがとうございます。僕、今、とっても幸せです――。
夢と現実がもう入り混じりませんように。そう願いながら、僕は眠りの世界へと旅立った。
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