夜の勉強

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「テレビでも観ましょうか!」  裏返った声で言う父に、敦史さんは「いえ」と短く答えた後で姿勢を正した。そして、深呼吸をしてから口を開く。 「今日は、大切なお話があって参りました」 「ひっ……」 「っ……」  父も母も姿勢を正す。僕はそれをどきどきしながら眺めていた。 「息子さんとは……」 「……はい」 「正式に、お付き合いをさせていただいております。ですので、今後も共に生活をさせて下さい。お願いします」  そう言うと、敦史さんは深々と頭を下げた。僕もつられて「……お願いします」と呟く。室内に、沈黙が走った。 「……あ、え? お付き合い、している……?」  数秒してから口を開いたのは父だ。ぽかんとした顔で、僕と敦史さんを交互に指でさしながら掠れた声で続ける。 「そ、そうですか……? いや、今日はその……お断りのご挨拶に来られたのかと思って……」 「違います。交際を、認めていただきたいと思い参りました」 「はぁ……そ、そうですか。いや、驚いたなぁ……」 「……素敵じゃない!」  魂が抜けたように椅子に凭れる父とは違って、母は興奮気味に立ち上がって手を叩いた。 「やだ、もう……まさか本当にこんなことになるなんて……ああ、幸せ……」 「……母さん?」 「あ、いえ。何でも無いわ。おほん、良いじゃない! カップル成立ね!」
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