6月・7月

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6月・7月

 6月の初めに体育祭があり、7月の初めは学校祭がある。行事の打ち合わせで普段、会話したことのない多くの仲間と会話する機会があった。私は最低限の意思表示をした。  アヤカは勝手に私に気を遣い、 「クラス一丸となって頑張るために、リサの力を貸してね。」 「行事は、みんなと仲良くなる絶好のチャンス!」 などなど、様々な場面で声を掛けてきた。私は苦笑するしかなかった。  体育祭が終了した日の夕方、私はミノルに誘われアコースティックギターのコンサートに行った。とある教会の神父様が教会の礼拝堂で演奏した。予想外に素晴らしい演奏で、私は涙があふれた。ミノルは私にハンカチを貸してくれた。演奏会が終わってから、帰る途中、ミノルにアヤカのことを相談してみた。  ミノルの答えは意外だった。 「勉強して大学なんか行かなくていい。高校卒業したら、僕と結婚しよう。」  私は反省した。私には、そんな気持ちは少しもなかった。初めは、何を言っているのだろうかと耳を疑った。だが冷静に考えてみると、自分が普通に彼と仲良くしていることが、彼に誤解を与え続けていたのだろうと反省した。  それ以来、言葉も行動も、人に誤解を与えると思い自重した。部活を辞め、学校祭の準備活動は、黙々と指示されたことだけした。  学校祭が終わり、クラスのみんなは確かに前より仲良くなったように見えた。私は特別、誰とも仲良くなりはしなかった。すべての言動を自ら厳重に管理していたのだ。気軽なおしゃべりなどできる訳がない。  学校祭の振り替え休日が明けた日から、隣のアヤカの席は空席となった。初めの1日、2日は、学校祭で疲れて体調を崩したのだろうかと想像した。だが、1週間経っても、2週間経ってもアヤカは欠席したままで、とうとう夏休みになった。
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