第1魔:勇者が来てますよ?

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「はい、お待たせしましたー!タイヨウの槍ですよっと!」 頭だけ牛のバカが槍を持ってきた。 普段はろくに働かないクセに、こんな時だけテキパキ動き回る。コイツ嫌いだ。 「ごくろう、戻っていいぞ」 こんなバカとは同じ空間に居るのも不快だ。 「ちょっちょっ、なんですぐ戻そうとするんスか?話聞かせてくださいよー。今日は魔王ちゃん何やらかしたんスか?」 この手のバカは面白そうな事があるとすぐ首を突っ込みたがる。それともミノタウロスってのは皆こうだったりするのか? 「魔王様だ。ちゃん付けで呼ぶな。それで、まぁ……アイスの食べ過ぎで腹が痛いんだそうだ」 「…………アヒャヒャヒャヒャ!」 ……腹を抱えて転げ回るな、仮にも魔王様だぞ。不敬罪でその首をはねてやろうか? 「アイスて、魔王様がアイスの食べ過ぎて!腹痛い、俺まで腹痛い!」 上手い事言ったつもりか?その首をはねた後 、頭は牛の体に体は人間の頭くっつけて、只の牛と人間にしてやってもいいんだぞ? 「死にたくなければ、とにかく持ち場に戻れ。もうすぐ勇者が来るんだ」 「えー、そんなぁ。隊長の活躍見せて頂けないんスかぁ?」 「チャキッ」 腰の剣に手をやる。が……チッ、逃げやがった。危機察知能力だけは高いバカめ。 次の人事異動で絶対僻地に飛ばしてやるからな。 さて 傍らの槍に目を向ける。 人間の伝説的な鍛冶屋が生み出したと言われる、大業物とか呼ばれる名槍。 何の因果か行き着いた場所はこの魔王城だったわけだが。 ひとたび振るえばその穂先から灼熱系の魔法を吹き出す魔槍。 この槍なら大丈夫だろう。勇者にも通用するハズだ。……多分。 通用するといいなぁ……
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