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「はい、お待たせしましたー!タイヨウの槍ですよっと!」
頭だけ牛のバカが槍を持ってきた。
普段はろくに働かないクセに、こんな時だけテキパキ動き回る。コイツ嫌いだ。
「ごくろう、戻っていいぞ」
こんなバカとは同じ空間に居るのも不快だ。
「ちょっちょっ、なんですぐ戻そうとするんスか?話聞かせてくださいよー。今日は魔王ちゃん何やらかしたんスか?」
この手のバカは面白そうな事があるとすぐ首を突っ込みたがる。それともミノタウロスってのは皆こうだったりするのか?
「魔王様だ。ちゃん付けで呼ぶな。それで、まぁ……アイスの食べ過ぎで腹が痛いんだそうだ」
「…………アヒャヒャヒャヒャ!」
……腹を抱えて転げ回るな、仮にも魔王様だぞ。不敬罪でその首をはねてやろうか?
「アイスて、魔王様がアイスの食べ過ぎて!腹痛い、俺まで腹痛い!」
上手い事言ったつもりか?その首をはねた後
、頭は牛の体に体は人間の頭くっつけて、只の牛と人間にしてやってもいいんだぞ?
「死にたくなければ、とにかく持ち場に戻れ。もうすぐ勇者が来るんだ」
「えー、そんなぁ。隊長の活躍見せて頂けないんスかぁ?」
「チャキッ」
腰の剣に手をやる。が……チッ、逃げやがった。危機察知能力だけは高いバカめ。
次の人事異動で絶対僻地に飛ばしてやるからな。
さて
傍らの槍に目を向ける。
人間の伝説的な鍛冶屋が生み出したと言われる、大業物とか呼ばれる名槍。
何の因果か行き着いた場所はこの魔王城だったわけだが。
ひとたび振るえばその穂先から灼熱系の魔法を吹き出す魔槍。
この槍なら大丈夫だろう。勇者にも通用するハズだ。……多分。
通用するといいなぁ……
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