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「この魔槍は魔王城に保管されてる武器の中でも一際レアな物なのだが、魔王様が勇者一行にならば譲渡しても良いと仰られてな」
「マジかよ!お、おい勇者!」
女戦士が食い付いたか。よし、勇者を説得するんだ。欲しいんだろ?この伝説の槍が。
「コレをこの城の外へと出す事は魔王軍にとってもかなりな痛手となるのだが、魔王様のお言葉だからな……」
とか言いつつ、実際はこの城でも持て余していた物であったりするのだが。
灼熱の息を操る魔物なぞ腐る程いるのに、こんな槍があっても仕方がないだろう?
こんな物で勇者を退ける事が出来るなら、どうぞ好きなだけ持っていって下さい。って事で。
勇者一行はしばし相談した後、
「……分かりましたよ。でも次は無いですからね?意地でも魔王に会わせて頂きますから」
折れてくれた。
……勝った!勝ったぞぉぉぉぉ!
やりましたよ魔王様、見てますか?
あ、シーツ饅頭だった。見てるわけ無いな。
槍を勇者に渡す。女戦士の目が怖い。武器マニアってヤツだなコレ。
さ、はよ帰ってくれ。帰ってくれないと契約違反だぞ。
「クイクイ」
ん?誰かがズボンを引っ張ってる?首をそちらに向ける。
「ひつじーおなかすいたー」
ん?
「ピョゲェェェエェェ!まぁぁぁぁ!?」
変な声出た!いや、そんな場合じゃない!なんでいるの魔王様ぁぁぁぁ!お腹痛いの治ったのぉぉぉぉぉ!?
ギギギと勇者一行の方へ顔を動かす。
見てる。見てるよ。見られてますよ。
「……えーと、それは?ひつじ?」
聞くわな。うん、こんな場違いな幼女いたらそりゃ聞くわな。
「ここここここの子はぁぁ!し、知り合いから預かった子でぇぇ」
「ひつじーおなかすいたのー」
ちょっと黙ってて魔王様!今、大事なとこだから!
それから私の必死な事情説明が火を吹いたのは言うまでもなかった……
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