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「知り合いの子だからって、あまり職場に連れて来ない方がいいですよ?どんな事情かは聞かないでおきますけど」
あの後、私の必死の事情説明が功を奏したのか、そう言うと勇者一行は帰っていった。
勇者に何か変な誤解された気がするけど、それは一旦置いておくとして……
危なかったぁ!魔王様が幼女だなんてバレたらどうなってた事やら……
折角進めていた和平交渉がパァになってたかもしれない。
そう、今まさに魔界と人界は和平交渉を進めている最中なのである。魔族らしくないと思うだろうが、魔王様の意向であるから仕方ない。
なんであんな子が魔界最強の力を持ってしまったのか……
魔王就任後、最初の挨拶が
「みんなけんかしたらダメだからね!」
だった。
魔王様のお言葉は絶対。今の魔界はとんとのんびりしたものである。
そういう経緯で人界との和平交渉も進める事となったのだが、今の魔界の状態を人間に知られると攻め込まれるやも知れない。
おまけに魔王が幼女だとバレればもっと危険性は増える。私の苦労を分かってもらえるだろうか?
あ、じゃあ最初から魔王様は交渉の場に居なくていいんじゃ?とか思った?
そうはいかないのだ。魔王様の膨大な魔力は誰にも真似出来ない為、勇者に目の前に立たれるとすぐにバレてしまう。これは最初に勇者が来た時に私がやってみて実証済みだ。あの時は殺されるかと思った……
なので次から立てた作戦がゴツい厳つい魔王人形の中に魔王様に入ってもらい、指示等はこちらから出すと言うものだった。まだ成功してないけど。
「ひつじったらーおやつはー?」
あ、忘れてた。魔王様の存在を。
私は微笑みながら魔王様を見つめる。
「魔王様、お忘れですかね?」
「?なにー?」
「私、言いましたよね?
……後で説教だって」
微笑みながら答える。
魔王様の顔が青ざめる。
ええ、きっちり1週間アイス禁止にしましたとも。
~了~
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