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……えらく散らかってるな。
あれだけきちんと片付けろって言ってるのに。説教の材料がまた増えたぞ。こっちだって楽しくて説教してるわけじゃないんだけどなぁ……
片付けながら隠れられそうな所を確認していく。……居ないか。
ったく、何処へ行ったんだか。
次は……厨房に行ってみるか。何かつまみ食いでもしてるかもしれん。
ああ、足取りが重い。
……
「すまんな、邪魔するぞ」
「おお、これはこれは執事様。こんな場所に何のご用で?」
料理長のガイコツ戦士がうやうやしく話しかけてきた。ガイコツで戦士なのに料理長とか今でも理解に苦しむ。ガイコツだからこそ食への渇望を調理で紛らわしてるらしいのだけど。
「副官と呼べ、副官と。いや、魔王様がまた脱走してな。ここへは来てないか?」
「おっと失礼しました。ハハハ、しかしまたでございますか。魔王様もお元気でございますなぁ!この老骨にも元気を分けて頂きたいものです」
孫を見る目になってるぞ料理長よ。
あと、老骨ってそれは自虐ネタか何かか?
「そうか、来てないようだな。見つけたら私に連絡してくれ。魔王様には一刻も早く立派になってもらわないといけないのに……」
ついつい愚痴が出てしまう。
「まぁまぁ、魔王様もまだ幼いですからな。あまり厳しくはしてあげないでくだされ」
……本気で孫だと思ってるんじゃないだろうな、この人?
「分かってる。私も魔王様の事を思えばこそだからな。しかしまぁ、少し厳し過ぎたかもしれんな。それじゃ、頼んだぞ」
きびすを返し厨房から出ようとする。
「ブフォッ!」
何かが吹き出した音がした。
なんだ?振り返り料理長を見る。
「どうした?何事だ?」
「い、いえ、なんでもございません!」
なんかプルプルしてるぞ?体調でも悪いのか?
「そうか?それじゃ邪魔したな」
料理長も年だからな。少し休みを増やしてやるとするか。
さて次は中庭を覗いて見るとするか。
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