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「私の全ての人生には共通点があるということ。必ず早死にするのだ。長くても私は、二十年まで生きたことがない。一番最初の、オリジナルの肉体であった時を含めてもな」
え、と花蓮は顔をあげる。しゃべり方からして、美鶴のオリジナルはかなり高齢の男性ではないかと踏んでいたからだ。同時に。
「……早死にするってことは。子供のうちに……それも酷い死に方をするのは、この世界のお前だけに限ったことでもない、のか?」
「その通り。そして、私は何故私が毎回のように早々と命を落とすことになるのか、それもまるでわかっていないのだ。……出来れば長く生きて、自らの人生と研究を謳歌したいにも関わらずな。今回など、まさか六歳で死ぬことになるとは思いもしていなかったぞ」
「じゃあ、お前やっぱり、今回の記憶も……」
「ああ。お前を逆行させたが、今回の世界で自分がもうすぐ死ぬことはちゃんとわかっているのだ」
段々と、美鶴の言いたいことがわかってきたような気がする。彼が自分を呼び寄せた明確な理由も含めて。
「私の目的は、私の死を回避することではない。私の死の真相を知り、少しでもこの袋小路の状況を打破するヒントを得たいということなのだ」
彼は木の棒を置くと、そっとその小さな手を伸ばしてきた。
花蓮の両手を包むように握り、そして。
「頼む、七塚花蓮。力を貸してくれ。……知りたいのだ、私を殺す者がいったい誰で、何の目的であるのかをな」
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