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「うわあ……」
夕日と、赤い空と、遠くに見える山と、それらを反射する田んぼと、ぽつんぽつんと見える家。
初めて山の頂上から見える景色は、とても綺麗だった。
「すごいだろ。でさ、秘密基地っていうのがこっちにあるんだけど」
「え、これ?」
啓大が指さした先にあったのは、お地蔵さまが入っているような社を人が一人くらいなら立って入れるサイズにしたような建物だった。
少し古いかもしれないけれど、人もほとんど来なさそうなこの場所なら秘密基地にぴったりだ。
啓大と期待に満ちた顔を見合わせて、大人に怒られないようその日は暗くなる前に帰った。
その日から、学校から帰るたびに山に登って、社を自分たちの秘密基地にするべく飾りつける。
秘密基地なのに看板をつけたり、好きなマンガやゲームを持ち込んだりしていた。
時には、他の友達をひっそりと連れてきたりして、この秘密基地はクラスの男子の中では公然の秘密になっていたりもしてきていたある日。
秘密基地を作ってから半月ほど経った頃だった。
「天体観測をしないか?」
啓大が、クラスの男子数人にそう声をかけて回った。
今日から夏休みに入るという時期。
夏休みに入るわくわく感もあるからか、ほとんどの人があっさりと了承したらしい。
そして、夕飯を食べて空がうっすらと暗くなった頃には十人ほどが集まった。
望遠鏡を持っている人や、バードウォッチングと間違えたのか双眼鏡を持ってきている人もいた。
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