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全員で山の頂上に登るとなると、人数が多い分いつもの道が使えないところもあったりしたが、頂上まで虫に刺されたくらいで登っていた。
満月に近い月が綺麗だ。
綺麗に晴れているから絶好の天体観測日和だ。
そんなことを言って登り続けると、ついに頂上に着いた。
「え……?」
そこには、たくさんの大人たちがいた。
今日は帰りが遅いと言っていた僕のお父さんも、隣の家の頑固なおじいさんまでいる。
啓大がみんなに指示を出して、木々の間や草むらに隠れて様子を見守ることになった。
と、大人のうちの一人が、何かを言っている。
「しーっ!」
啓大が静かにするように言った。
すると、大人の声が聞こえる。
この声は、確か村長さんの声だ。
「満月……封じる……」
いくつかの単語は聞こえたものの、その単語が何を表しているのかがわからない。
風が吹いているのかもしれない。
それから、大人たちは全員で何かを唱え始めた。
「……神、我ら……満月……」
言っている内容はわからないけれど、重々しいというか重苦しいというか、そんな雰囲気だと伝わる。
こんなこと、僕たちには知らされていない。
僕や啓大を始め、みんながこれはよくないことなのだも察したようだった。
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